研究課題/領域番号 |
02454516
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
白川 茂 三重大学, 医学部, 教授 (20026850)
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研究分担者 |
三輪 啓志 三重大学, 医学部附属病院, 助手 (00209967)
大野 敏之 三重大学, 医学部, 助手 (50194246)
西川 政勝 三重大学, 医学部, 講師 (30144257)
北 堅吉 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (90169847)
小林 透 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (00144246)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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キーワード | 成熟B細胞腫瘍 / B細胞分化 / 免疫表現型 / CD5 / CD11c / Cμ遺伝子欠落 / 病態 / indolent型病型 |
研究概要 |
成熟B細胞ではIg class switchがみられ、二次濾胞内での変化とみなされてきたが、BーCLL(chronic lymphocytic leukemia)やHCL(hairy cell leukemia)また悪性リンパ腫(ML)とBーCLL,HCLの中間病態としてのILL(intermediate lymphocytic lymphoma)などでみられる。ILLはBーCLL同様CD5陽性(胎児期B細胞や一次濾胞の主成分で、二次濾胞分化以前のB細胞分布領域の濾胞周辺の暗殻mantle zoneに存在)で、HCLの多くはIgG型で、class switch後の細胞でCD11c陽性である。そこで成熟B細胞腫瘍の病態とclass switchの関連を明らかにする目的で、CD5陽性B細胞腫瘍のclass switchを中心にIgH遺伝子型とCD11cを含むB細胞分化抗原との関係を、成熟B細胞腫瘍45例を対象に検討した。class switchは遺伝子levelでの初期の変化をみるためCμ遺伝子欠落の有無にて検索した。CD5陽性B細胞腫瘍の段階で少なからずCμ遺伝子欠落、即ち1g定常部領域遺伝子のclass switchが既に起っていることが明らかとなり、この遺伝子型はCD5陽性B細胞腫瘍においてはCD11c抗原発現と密接な関連が認められ(CD11c陽性例の80%以上でCμ遺伝子が欠落)、HCLへの疾患的連続性が強く示唆された。一方二次濾胞内B細胞形質を示すMLでは約1/3の症例にCμ遺伝子欠落がみられたが、いずれもCD5,CD11c抗原陰性であった。これらのことからB細胞分化と成熟B細胞腫瘍との関係では、病態的に巨脾を伴い白血化しやすい腫瘍は暗殻段階から二次濾胞を経ずして分化するB細胞の存在を示すと同時に、二次濾胞B細胞性格を示すMLとは区別し得る一連の成熟B細胞腫瘍と捉えることが可能と考えられ、表現型と遺伝子型からこの二群に大別し、その臨床的予後と比較すると、二次濾胞内分化を経ないと考えられる腫瘍は慢性型病型、indolent型病型を示し、臨床病態とよく一致する。さらにこのような成熟B細胞腫瘍は欧米に比べわが国では通常のBーMLに比較して極端に少ないことは興味のあるところであり、一層の追求が必要である。
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