研究概要 |
平成3年度は,モルモットの胸腺細胞あるいは脾臓細胞をBALB/Cマウスに免疫し,モノクロ-ナル抗体の作製を試みた。現在,多数のハイブリド-マが得られているので,培養上清のスクリ-ニングをおこなっている。最近,モルモットのT細胞,主要組織適合抗原複合体(MHC)クラスII抗原,およびモルモット免疫グロブリンに対するモノクロ-ナル抗体が市販されるようになった。これらのモノクロ-ナル抗体の特異性(認識エピト-プ)は不明であるが,これらのモノクロ-ナル抗体を入手して,モルモットの胸腺および脾臓におけるT細胞,B細胞,およびクラスII抗原陽性細胞の組織内分布を検索した。3〜4か月齢の種々の系統のモルモットを用いて検索したところ,T細胞およびB細胞の組織内分布に関しては,有意の系統差はみられなかった。一方,JYー2,G,C4D系モルモットにおいては,胸腺および脾臓におけるクラスII抗原陽性細胞の比率が,他の系統のモルモット(例えば,#13,JYー3,JYー5,Hartley系など)に比し,有意に低下していた。 6〜7か月齢の種々の系統のモルモットに,胸腺依存性抗原(羊赤血球)および胸腺非依存性抗原(デキストラン)を免疫したところ,JYー3,JYー8,C4D系モルモットにおいては,他の系統のモルモット(例えば,JYー2,Hartley系など)に比し、羊赤血球に対する抗体産生応答能(HA抗体価)が高かった。デキストランに対する抗体産生応答能は,現在検討中である。 今後,異なる週齢のモルモットを用いて同様の研究を進め,モルモットの個体発生にともなう,免疫担当細胞の組織内分布および抗体産生応答能を検索していく予定である。また,ウサギを用いて同様の研究を進めていく予定である。
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