研究概要 |
最新の断面標本作成機を使い、各種実験動物(イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット、ラットおよびマウス)の連続切断標本を作り、これらの写真画像を体系的に整理し、医学研究に役立つ実験動物の断面解剖アトラス(成書)作成のための研究を行なうことを目標に、以下の実施計画を遂行し、下記の成果を得た。 1.各種実験動物を用いた医学薬理学研究において、画像診断上重要と思われる解剖学的部位、角度、および立体的な方向等を検討した結果、上記動物を安楽死させ、垂直、横断または背側方向から各々1cm間隔で断面解剖標本を採取することで目的を達成できること、また切断した部位の確認の為には、断面解剖標本を再び再構成し、検討する方法が最も確実であるとの結果が得られた。 2.断面標本作成機(マルト-:MCー140D・現在設備)を使い各種実験動物の断面解剖標本を有効に取り出せるための検討を行った結果、動物を-30℃以下で凍結後、幅0.5mmのダイヤモンドソ-で切断する方法が組織の損傷も少なく最も有効であった。 3.各動物の凍結した解剖標本は、カラ-写真撮影時(杉研MPSー11,7ーOFCおよびニコンF4・補助金にて平成2年度購入)、融解した状態で撮影する方法で色合い等を生体に近い状態で再現でき、理想的な断面解剖写真が得られ、かつ各臓器とも明確に観察できた。なお断面解剖標本は軟X線(Softex CMBー2型・現有設備)撮影も行いカラ-写真と併せて成書にする予定である。本研究で得られたイヌとネコの断面解剖関係の一部知見は、教科書(獣医実験動物学,川島書店,1990年)に記載した。 4.超音波断層装置(アロカSSDー650・現有設備)を使い上記実験動物から採取した超音波画像と相関した断面解剖アトラスを作成する試みを行い、その一部知見を実験動物の専門誌(アニテックスVol.2.No.3,111ー120,1990年)に報告した。
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