研究概要 |
水溶性食物繊維の生理効果を知るために下記の研究を行なった。 1.水溶性食物繊維による結腸粘膜の変化 プルラン、ポリデキストロース、ペクチンの繊維源のちがいによって、結腸粘膜のDNA、蛋白質量および粘膜表層の形態変化に差が見られた。 2.ビタミンB_1、B_2の出納におよぼす水溶性食物繊維の影響 1%プルラン食で飼育されたラッとにおいて、ビタミンB_1出納は負を示したことから、盲腸でビタミンB_1を合成する細菌叢が存在することが示唆された。 3.水溶性食物繊維による盲腸内細菌叢の変化 プルラン、ポリデキストロースあるいはペクチンを含む飼料で飼育したラットの盲腸内の細菌叢を検索した。同時に盲腸内容物中の短鎖脂肪酸濃度および可溶性糖の含有量を測定した。ポリデキストロースとペクチンに比べて、プルランは盲腸内細菌によって発酵されやすいことがわかった。 4.水溶性食物繊維の生理効果ー盲腸切除ラットの腸内発酵および形態的変化 水溶性食物繊維は盲腸に生息する菌叢によって分解(発酵)されることを証明した。血中コレステロール低下作用も盲腸が関与していることがわかった。 5.ラット消化管および血清コレステロール値におよぼす直鎖およびゲル状ポリアクリル酸ナトリウムの影響 小腸の走査電顕像から,5%ゲル状ポリアクリル酸ナトリウム食群では,消化管粘膜表層の微細構造に損傷がみられた。10%ゲル状ポリアクリル酸ナトリウム食群では,損傷がさらに著しかった。しかし,1%直鎖状および1%ゲル状ポリアクリル酸ナトリウム食群では,消化管に形態的変化を与えないが,血清コルステロール濃度を低下させることを明からにした。消化管腟で膨潤したポリマーが粘膜表層の形態変化やコレステロール代謝に対して重要であることがわっかった。
|