実験準備 器材購入、デ-タ解析用プログラムの開発およびテストランを行った。デ-タ解析用プログラムとして、心電図、心音図、耳朶脈微分波、インピ-ダニスカルジオグラムおよび動脈圧波をbeatーbyーbeatに分析し、心拍数、心周期分画、1回拍出量、収縮期血圧および拡張期血圧を自動的に計測できるものを開発した。 実験 成人男子9名を対象にして、周期が1、2、4、8、16分の正弦波運動負荷を加えたときの、上記パラメ-タ-を拍動毎に求めた。得られた主な所見は以下のとおりである。 (1)正弦波負荷に対する心拍数の応答は歪んだ正弦波となり、上行脚より下行脚が急になった。 (2)心拍数応答の振幅は運動の周期に依存し、その関係は指数関数によって近似できた。 (3)心拍数応答の遅れ時間は、負荷の頂上におけるより谷における方が小さい。頂上または谷における遅れ時間の長さは運動の周期に依存し、その関係は指数関数と一次関数の複合モデルによってよく近似することができた。 以上の所見は心拍数調節系にイナ-シャリティと閾値の存在を仮定することによってよく説明することができる。 (4)心周期を収縮期と拡張期に分けて計測してみると、拡張期の応答と収縮期の応答は位相的に違っていて、前者の応答はきわめて速かであるのに対して、後者のそれは緩徐であることが明らかにされた。その他のパラメ-タについては現在分析中。
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