研究概要 |
昨年度の実験デ-タのうち解析未了分の解析を行い、さらに本年度の実験とその解析を行った。これらの結果について検討し、現在までに以下の所見を得た。 運動強度の変化に伴って循環係の諸パラメ-タ-はそれにやや遅れて追従するが、その遅れ時間から判断した追従速度にはパラメ-タ-による差が大きい。最も追従の速いのは血圧であり、最も遅いのは左室駆出時間である。その他のパラメ-タ-はこれらの中間にあり、その順序には若干の個人差があるが、概ね次の通りである。 收縮期血圧≒拡張期血圧,全拡張期,前駆出期,心拍数,全收縮期。 左室駆出時間 これらの所見について考察した結果、(1)末消血管低抗,(2)心臓のinotropic作用および(3)chronotropic作用は、いずれも自律神経性の応答ではあるが、運動に対するこれらの応答の速さは(1)が最も速く、次いで(3)であり、(2)が最も遅いものと考えられる。このような自律神経性の応答性は、環境変化や生理的ストレスに対する生体の適応性ー特に自律神経を介するーを反映するものであり、健康や生命を維持する能力の指標として有用ではないかと考えられる。この点に関してはまだ十分な資料が得られていないので、次年度以降においてさらに検討をすすめる予定である。
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