研究概要 |
ヒト血小板におけるカルシウム動員受容体を介する情報変換系に重要な役割を果たすホスホイノシチド特異的ホスホリパ-ゼC(PLC)と,その活性調節に関与するG蛋白質の多様性を明らかにするために、サイトゾルと膜から両者を分離・精製することを試みた。ヒト血小板のサイトゾルおよび膜から各種カラムクロマトグラフィ-(Qーセファロ-ス,ヘパリンーセファロ-ス、ウルトロゲルAcAー44、モノ-QHPLC,ヘパリンアガロ-スHPLC、ハイドロキシアパタイトHPLC)により,サイトゾルからは4種類、膜から2種類(mPLCーIIを含む)のPLCアイソザイムを分離・精製した。各種PLCアイソザイムの抗体を用いて検索したところ、PLCーγ2、PLCーγ1,PLCーβが同定されたが、他にいずれの抗体とも反応しないPLCの存在も確認された。PLCーγ2はサイトゾルから,PLCーβはサイトゾルと膜の両者から単一に精製し、それらの性質を明らかにした。またPLCーβをウシ脳膜から精製し、ウサギにて抗体を作製し、ヒト血小板のものと比較したところ、両者に差がみとめられなかった。 同上両画分より高分子量型(ヘテロトリマ-;αサブユニットのMr40,41kDa)と低分子量型(モノマ-;サブユニットのMr21ー27kDa)を諸種のカラムクロマトグラフィを用いて分離・精製した。サイトゾルから精製された低分子量Gタンパク質 _C25KGの合成オリゴペプチドを用いて、巨核球細胞のcDNAライブラリ-から新しいタイプの低分子量Gタンパク質ramをクロ-ニングし,遺伝子を大腸菌で大量発現させた。各種プロテインキナ-ゼによるリン酸化を検討したところ,膜m22KGのみがAキナ-ゼでリン酸化されたが活性には影響は見られなかった。 ヒト血小板ではトロンビン刺激によりプロテインチロシンキナ-ゼの活性化が知られており、この際のPLCーγのリン酸化を検討したが顕著なリン酸化は見られなかった。
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