研究概要 |
ヒト血小板には数種類のイノシト-ルリン脂質特異的ホスホリパ-ゼC(PIーPLC)が存在しており、種々のカラムクロマトグラフィ-でPLC活性画分を分離し、各種アイソザイムの抗体を用いて同定を行った。サイトゾル画分にはPLCーβ,PLCーγ,PLCーδと未同定の二種類の存在が確認された。PLCーγの活性調節にはチロシンキナ-ゼによるリン酸化の関与が明らかにされており、ヒト血小板にはsrcが多量に発現していることより、srcによるPLCーγのチロシンリン酸化について検討した。トロンビン刺激によりチロンシンキナ-ゼが活性化され、ホスホチロシン抗体を用いたウエスタンブロットにより数種類の蛋白質(130,105,98,85,78kDa)のチロシンリン酸化が観察された。またトロンビン刺激後PLCーγの抗体を用いて免疫沈降を行い、チロシンリン酸化について検討したがPICーγのリン酸化は確認されなかった。また、ヒト血小板のPLCーγは細胞骨格系アクチン・ゲルゾリン複合体と結合をしていることが示され、ゲルゾリンのPLCーγの活性調節への関与が示唆された。 一方、ヒト血小板には多種類のGTP結合タンパク質が存在しており、百日咳毒素非感受性GTP結合タンパク質であるGqの存在が、特異抗体を用いたウェスタンブロットにより確認された。また、PLCーβも膜画分に多く検出され、PLCーβの活性調節におけるGqの関与が示唆された。ヒト血小板には数種類の低分子量型GTP結合タンパク質が存在し、そのなかでも、サイトゾル画分から精製されたc25KGは、新規GTP結合タンパク質であることが、部分アミノ酸配列から明らかにされた。さらに、本タンパク質の合成オリゴペプチドを用いて、巨核球ライブラリ-からcDNAをクロ-ニングした(ramと命名)。このcDNAを大腸菌で発現させて多量のramP^<25>を得た。
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