研究課題/領域番号 |
02454547
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
二階堂 修 金沢大学, 薬学部, 教授 (60019669)
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研究分担者 |
森 俊雄 金沢大学大学院自然研究科, 助手 (10115280)
松永 司 金沢大学, 薬学部, 教務職員 (60192340)
鈴木 文男 金沢大学, 薬学部, 助教授 (10019672)
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キーワード | ヒト細胞 / 色素性乾皮症 / DNA修復 / モノクロ-ナル抗体 / チミン二量体 / (6ー4)光産物 / Dewar型光産物 |
研究概要 |
1)種々のヒト細胞におけるチミン二量体と(6ー4)光産物の修復動態を解析した。まず、XPヘテロ細胞の修復動態を調べたところ、両損傷とも正常細胞に比べてやや遅い動態を示した。また、SVー40で不死化した細胞の修復能は、その初代培養細胞に比べてやや低い傾向が見られた。2)モノクロ-ナル抗体を用いたDNA損傷検出系の信頼性と感度の向上を目指して、チミン二量体に対する2種の抗体(TDMー2、TDMー3)と(6ー4)光産物に対する4種の抗体(64Mー2、64Mー3、64Mー4、64Mー5)を新しく樹立した(Mori et al.,1991)。これらの抗体を用いて、正常ヒト細胞における修復動態を比較したところ、抗体間で全く同一の修復動態が観察された(信頼性の向上)。また64Mー2、64Mー3、64Mー5抗体を用いることにより、5J/m^2以下の紫外紫によって誘発される(6ー4)光産物の検出が可能となり、チミン二量体と同じ線量域での解析が可能となった(高度の向上)。3)太陽光紫外線の生物影響を考える際に、(6ー4)光産物の光異性体であるDewar型光産物の解析が必須であることから、Dewar型光産物に対するモノクロ-ナル抗体の樹立を試みた。その結果、A3ー3ー3というクロ-ンが獲得され、現在詳細な性格付けを行なっている。現在までに、(1)チミン二量体や(6ー4)光産物は認識しない、(2)(6ー4)光産物の光異性化により抗体の結合性が上昇する。(3)UVーDNAの室温でのアルカリ処理(Dewar型光産物の分解)により抗体の結合性が低下する、ことが明らかになっている。4)Woodらによる試験管内修復系を導入し、さらにモノクロ-ナル抗体による損傷定量系を併用することにより、試験管内における損傷の除去と修復合成を並行して追跡することが可能となった。この結果、修復合成量の増加とDNA中の両損傷の減少の動態はよく相関し、チミン二量体1個に対して約3塩基分のrepair patchが合成されることが示唆された。
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