研究課題/領域番号 |
02454547
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
二階堂 修 金沢大学, 薬学部, 教授 (60019669)
|
研究分担者 |
石垣 靖人 金沢大学, 薬学部, 教務職員 (20232275)
松永 司 金沢大学, 薬学部, 助手 (60192340)
鈴木 文男 金沢大学, 薬学部, 助教授 (10019672)
|
キーワード | チミン二量体 / (6ー4)光産物 / デワ-型損傷 / 修復パッチ・サイズ / モノクロ-ナル抗体 / 無細胞修復系 / 修復合成系 / 除去修復 |
研究概要 |
本研究では紫外線損傷を認識するモノクロ-ナル抗体の樹立を図り、それら抗体を用いてヒト細胞における紫外線損傷の修復動態を比較検討することを目的とした。 これまでにチミン二量体認識抗体3種、(6ー4)光産物認識抗体5種、Dewar型光損傷認識抗体1種の計9種を樹立した。254nmの紫外線10J/m^2を照射されたヒト細胞での各種損傷の修復動態を抗体を用いて調べたところ、(6ー4)光産物は紫外線照射後12時間で除去されるが、チミン二量体は24時間を経過しても約半数が残存していた。損傷により除去動態が異なることの意義を明かにするため、紫外線照射されたplasmidとヒト細胞抽出液を用いた無細胞修復合成系を導入した。本系はWood等によって修復合成に関わる因子の解析に役立つことが立証されている。無細胞修復合成系で観察される修復合成が損傷の除去を伴うか否かを調べたところ、チミン二量体と(6ー4)光産物は細胞内と同様な動態でplasmidから除去されていた。アセトフェノン存在下で313nm紫外線を照射してチミン二量体を誘起させたplasmidを基質として用い、チミン二量体1個の除去に伴って修復合成されるpatchーsizeを求めたところ、14〜24塩基と大腸菌のそれに極めて近い結果を得た。 一方、Dewar型損傷認識抗体を用い損傷生成の波長依存性を求めたところ、260nm紫外線によってもDewar型損傷が生成されることを見いだした。しかも、長波長紫外線は(6ー4)光産物をDewar型損傷に光異性化するので、太陽光紫外線(300nm<)によって生成される損傷はチミン二量体とDewar型損傷であり、(6ー4)光産物をほとんど生成されないことが明かになった。以上の結果から、太陽光紫外線の人体影響について考える場合、254nm紫外線照射の結果を長波長紫外線のそれに外挿することは誤りであることが判明した。
|