(1)本研究計画のために新たに開発した、単一胚からcDNAを増幅調整する方法を用いて、胚発生(受精からふ化まで13時間)の各期(2時間おき)のcDNAプロ-ブを作成した。 (2)各期のcDNAプロ-ブを標識し、別に各期の混合集団から作成されたcDNAライブラリ-をスクリ-ニングした。このようにして(differential hybridization)、予備実験で、第一卵割後、1.5時間(原腸陥入期)と9時間(形態形成期)にそれぞれ強く発現が見られるクロ-ンを得た。ほぼ全ゲノムをカバ-するYAC(酵母人工染色体整列クロ-ンをブロットしたメンブレンフィルタ-を用いて遺伝地図上の位置を決定した。 (3)一方、増幅したcDNAを逆にメンブレンフィルタ-にドットブロットし、cDNAクロ-ンの方を標識してハイブリダイズさせる方式を設定した。(2)で得たクロ-ンは明瞭に時期特異的発現を示した。Hoskins博士(米国)との共同研究で、運動神経回路形成異常をおこすuncー30遺伝子のcDNAクロ-ンについて調べた所、うすいシグナルであるが第一卵割後7時間後から発現が始まることがわかった。この時期は、uncー30遺伝子に支配される運動神経が伸長を始める時期と完全に一致した。このことから、増幅cDNAのフィルタ-を用いることにより、任意のcDNA(遺伝子)の発現パタ-ンを知ることができるので、均一化したcDNAライブラリ-から、cDNAクロ-ンをランダムに多数選び出し、順々に発現時期を調べ、最終的に全cDNAの発現パタ-ンを記述することをめざした方法の設定を行っている。 (4)cDNAの発現を細胞レベルで決定するためにin situハイブリダイゼ-ションを試みた。
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