研究概要 |
カテコ-ル体を分解する二原子酸素添加酵素には、水酸基の間を開裂するIntradiol型と水酸基の隣を開裂するextradiol型がある。後者については既にDNA塩基配列を決定しているので、前者についてもDNA塩基配列の決定に着手し、両酵素の構造・機能に関する比較生化学的研究を進めた。 1)カテコ-ル1,2ー二原子酸素添加酵素の分解によって生じたペプチドを分解精製し、それぞれのペプチドのN末端アミノ酸配列を決定した。この結果に基づいてオリゴヌクレオチドを合成し、それらをプライマ-としてPCRを行った。一方、Pseudomonasの染色体DNAからgeneライブラリ-を作成し、PCRの生成物をプロ-ブとしてクロ-ニングを行い、本酵素の遺伝子を含むクロ-ンを得た。 2)2,4ージクロロフェノキシ酢酸を分解する緑膿菌よりも3,5ージクロロカテコ-ル1,2一二原子酸素添加酵素を均一にまで精製した。基質特異性、反応動力学的定数、Nー末端アミノ酸配列の決定から、本酵素は従来報告されているクロロカテコ-ル二原子酸素添加酵素とは異なる新しい酸素であることを明らかにした。さらに、本酵素遺伝子のクロ-ニングに成功した。現在、本酵素遺伝子の塩基配列決定を進行中である。 3)カテコ-ル2,3一二原子酸素添加酵素の拮抗阻害剤である〇一ニトロフェノ-ルは410nmに吸収極大を示すが、酵素との結合により405nmにブル-シフトし電荷移動複合体によると考えられる660nm付近の幅広い吸収を示した。さらに、本複合体の円二色性、共鳴ラマンスペクトルなどの研究結果から、基質と酵素の結合様式を推察した。さらに、活性中心の鉄の他金属による置換実験、ならびにSH試薬や自殺基質による酸素の修飾を行い、活性に関与するアミノ酸残基の推定を試みた。
|