研究概要 |
大雪山の黒岳石室周辺および青森県・八甲田山地の登山道周辺に,雨量計,地温計,気温計を設置し,登山道周辺での気象条件の通年観測を実施している。また,上記2地域に大雪山旭岳周辺を加えた3地域で,登山者の人込数の調査を行なうと同時に,常林署が管理している登山者名簿から情報を収集した。これら両者の集計を行ない,その結果をシュミレ-ションモデルによって処理し,国立公園利用者の動態予測を試みた。また,利用者意識のアンケ-ト調査を行なった結果,多元的満足度評価の把握が必要であることがわかった。 登山道・山小屋周辺での植生破壊の進行は,付帯施設(ベンチ・ロ-プ・案内板等)の分布,数,管理形態などによって大きく左右される。そこで,これらの施設についても現地で調査を行なった。また,飲用水・雑排水の水質汚染が,自然環境や人間に影響を及ぼすことも予想されるので,現在の各水場での水質汚染状況を知るために,細菌試験を実施し,雑排水・(尿の処理システムに関する現地調査および関係者へのヒアリングを行なった。そして,前述の3地域において,登山道をはさんで設けた基準点からの土壌侵食深も測定した。 さらに,大雪山国立公園の管理を考えていく上で重要な手がかりとなる,国立公園管理関係諸機関・組織の認識と対応の状況についても,ヒアリングや文献調査等によって明らかにし,現存する諸問題の検討を行なった。 以上の結果の一部は、1991年度日本地理学会春・秋季大会において,口頭発表された。
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