研究課題/領域番号 |
02455012
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
山本 浩之 信州大学, 繊維学部, 助教授 (60021151)
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研究分担者 |
井上 克彦 信州大学, 繊維学部, 助手 (30092860)
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キーワード | 海洋接着タンパク質 / カチオン性タンパク質モデルの架橋 / バイオヒドロゲル / 接着タンパク質のぬれ特性 / 接着特性 / バイオ接着材料 / 生接着物質 / 新素材 |
研究概要 |
海洋無脊椎動物の分泌する接着タンパク質はバイオ接着剤として基礎および素材開発研究の両面から今後の発展が期待される分野であり、アメリカ、イギリス、チリ、我が国などで実用化が企画されつつある。本年度は当研究の最終年度であるので、素材開発に重点を置き、以下に列挙する検討を行ない新たな成果を得た。 (1)新たに4種類のカリフォルニアイガイの接着タンパク質および3種類の肝吸虫卵殻接着タンパク質を合成し、水溶液中での二次構造を円偏光二色性などから検討した。 (2)上記(1)の海洋接着タンパク質およびその簡単なモデル化合物が水中で分子間架橋する時にゲルを形成し、最終的には固化し、接着・付着する。このゲル状態のタンパク質はバイオヒドロゲルとしての用途が期待され、例えば酸性アミノ酸を選択吸着するなど機能性ゲルとして有用であることが判明した。 (3)上記(2)のバイオヒドロゲルを製膜し、膨潤性の可逆的変化、時間経緯などのゲル挙動の基礎知見から、例えば創傷被覆材としての可能性などについて研究・検討した。 (4)接着素材としてのタンパク質は材料表面での濡れの問題が重要な検討事項になるので、接触角、表面張力の測定から接着仕事を評価し、極性および分散力の成分わけについても数値評価し考察を加えた。 (5)接着タンパク質を用いて金属、プラステック類、圧体物質(骨および皮)などの材料を接着し、酵素および有機架橋剤の効果について検討評価した。50Kg/cm^2以上の強力な接着強度が得られる材料系もあり、バイオ接着素材として用いることの可能性を示す良好な結果を得た。 以上の海洋接着タンパク質に関する研究成果は関連学会で口頭発表し、また国内外の専門雑誌に論文として発表した。
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