研究概要 |
1.モデル膜としてジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)のリポソームを用いた。DPPC二分子膜の相転移温度におよぼす圧力効果により,二分子膜状態に関する相図を作成し,液晶相,波型ゲル相,平板型ゲル相の他に高圧力下で誘起されるInterdigitated相の存在を確認した(材料,41,336(1992))。また,DPPC二分子膜のInterdigitated相の出現におよぼすアルコールと圧力の効果を明らかにし,麻酔作用の圧拮抗現象との関連を考察した(Chem.Lett.,1963(1992))。 2.前年度に開発された局所麻酔薬選択性電極に関して,ネルンスト応答の濃度範囲,pHおよび共存イオンの影響,生体系での利用を考慮して血中タンパク質の影響などを明らかにした(Anesth.Analg.,75,1063(1992))。また,更に微小な電極を開発し,家兎血管中に留置し血液中の麻酔薬の濃度の連続測定に成功した(分析化学,41,573(1992))。 3.局所麻酔薬の部分モル体積および溶解度の圧力依存性を決定し,ミセルやリポソームのような組織体溶液中への移行体積を評価した(日本化学会九州・中四国支部合同大会,第33回高圧討論会)。膜モデルとして界面活性剤混合系の表面張力,示差査走熱量分析,密度測定を行い吸着膜やミセル中での分子間相互作用を相図の形で討論した(J.Colloid Interface Sci.,150,331(1992),154,454(1992),Colloids Surfaces 印刷中(1993))。
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