研究課題/領域番号 |
02455016
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小森 悟 九州大学, 工学部, 助教授 (60127082)
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研究分担者 |
植田 洋匡 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (70026186)
中村 泰治 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (80038554)
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キーワード | 地球の温暖化 / 大気・海洋 / 炭酸ガス交換 / 気液界面 / 乱流構造 |
研究概要 |
近年、二酸化炭素による地球の温暖化問題が重要な環境問題として取り上げられ、近未来の大気温度上昇に関する衝撃的な予測や、濃縮炭酸ガスの深海投棄や海洋表層での微生物処理等の温暖化防止対策が提案されてきている。それと同時に、これらの予測や対策が、炭酸ガスのミッシングソース等の問題に代表されるようにかなり不確定な要素を含んだ信頼性に欠けるものであることも指摘されている。そこで、本研究では、この問題の中の一つの重要な課題である大気・海洋間の炭酸ガスの交換機構を流体力学的な観点から解明することを目的とした。最終年度である本年度は、海洋面にシアーが働く場合の炭酸ガスの移動機構の変化を過去2年間の結果も総合して明らかにすることを試みた。その結果、界面シアーの小さな小波の領域では、バースト現象により発生する気流側の乱流渦により液側に表面更新渦が作られ、これにより物質移動が支配される。その結果、この領域では、物質移動速度は界面シアーに比例して増大する。さらに、大きなシアーの発生する領域では波が成長する領域に相当し、この領域では、表面更新渦の発生頻度が飽和状態になるため物質移動速度が一定値を示す。また、これらの領域では、表面更新の概念が完全に成立することが明らかになった。しかし、もっと大きなシアーの働く、波が崩壊する領域では、気泡が海洋表層にエントレイン(取り込まれる)されることにより、炭酸ガスの交換速度が飛躍的に促進される。なお、この風波の崩壊に伴う気泡の巻き込み機構とその気泡の海水との間の炭酸ガスの移動機構は流体力学的にはほとんど明らかにされていないので、本研究もその解明に取り組んだが、気泡の速度などの測定機を調達することができず、この問題は将来の研究課題として残された。
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