研究課題/領域番号 |
02455020
|
研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
奥村 福一郎 横浜市立大学, 医学部, 教授 (50028487)
|
研究分担者 |
安藤 富男 横浜市立大学, 医学部, 講師 (00193110)
山口 益弘 横浜国立大学, 工学部, 教授 (10018046)
|
キーワード | 磁気刺激 / 運動路機能モニタ- / 脊髄虚血 / 運動誘発電位 |
研究概要 |
磁気刺激装置を改良し、従来に比べて磁界強度が約5倍の装置を作成した。コンデンサ-の容量は最大4mF、最大駆動電圧は3000Vであり、コイルは内径3cm、外径9cmのものを作成した。3000Vの電圧ではコイル表面の最大磁界強度は12.3テスラ-となる。市販の磁気刺激装置の最大磁界強度が約2テスラ-なので、これらに比べて非常に大きな磁界が得られた。 この装置を用いて、イヌの頭部および頚椎部の磁気刺激を行い、前肢と後肢の誘発筋電図、および胸椎椎弓より導出した脊髄電位の測定を試みた。麻酔法は、ケタミンとミダゾラムを用いた方法、およびウレタンに方法よるで行ったが、どちらの麻酔法でも誘発筋電図は得られなかった。また、前肢筋電図と椎弓導出の脊髄電位は刺激コイルとの距離が短いため、磁気によるノイズが大きく、誘発電位の測定は不可能であった。刺激強度が充分大きいにもかかわらず、誘発筋電図が得られなかったのは、麻酔薬による誘発筋電図の抑制が強いためと考えられた。そこで、麻酔薬として、体性感覚誘発電位を抑制せずむしろ増強すると報告されているエトミデ-トを用い、イヌおよび家兎で頭部、頚椎部の磁気刺激を行った。ノイズを避けるために、より小さい磁界強度で、同様の測定を行ったが、明かな誘発電位は得られなかった。 したがって、動物で大脳磁気刺激による誘発筋電図、誘発脊髄電位を再現性よく導出できる実験系の確立には至らなかった。しかし、ほぼ同じ装置で心筋を刺激し、不整脈を起こすことに成功した。刺激装置の改良が進んだので、今後は、より適当な実験動物の選定、誘発電位測定法と磁気によるノイズ対策の改良を検討する必要がある。
|