研究課題/領域番号 |
02455026
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
広領域
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
高橋 久英 藤田保健衛生大学, 衛生学部, 教授 (80084606)
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研究分担者 |
長尾 静子 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 研究員 (20183527)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1992
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キーワード | 嚢胞腎 / 系統差 / DBA-2FG-pcy / C57BL / 6FG-pcy / 遺伝的背景 / ADPKD / 疾患モデル動物 / 動脈瘤 / Aneurysms |
研究概要 |
マウス成人型多発性嚢胞腎遺伝子であるpcyを近交系DBA/2及びC57BL/6マウスに導入して確立したDBA/2FG-pcy及びC57BL/6FG-pcyコンジェニック系統を使用し、多発性嚢胞腎症の発現の差異を比較検討した。DBA/2FG-pcyマウスで肉眼的に腎〓胞は、生後4週齢から認められた。しかし、C57BL/6FG-pcyマウスでは30週齢のみに認められた。組織学的な嚢胞性の病変は、両系統共に4週齢から認められた。加齢に従って、DBA/2FG-pcyマウスの腎嚢胞はび慢性に、C57BL/6FG-pcyマウスの腎嚢胞は限局性に認められた。またDBA/2FG-pcyマウスの30週齢では、正常なY組織がほとんど認められなかったのに比し、C57BL/6FG-pcyマウスの30週齢では、嚢胞は腎の一部を占めているに過ぎなかった。またDBA/2FG-pcyマウスの腎体重比は4週齢から30週齢まで有意に増加したのに比し、C57BL/6FG-pcyマウスの腎体重比では16週齢以降において増加が認められた。このようにpcy遺伝子による嚢胞腎の発現は、C57BL/6マウスの遺伝的背景より、DBA12マウスの遺伝的背景の方が顕著であった。一方、赤血球数、ヘマトクリット値の減少及び血小板数の増加が両系統共に認められたが、これらの変化はC57BL/6FG-pcyマウスよりもDBA/2FG-pcyマウスに著明であった。これらの所見は、pcy遺伝子による成人型嚢胞腎はかなり早い時期から発症し、またその発症程度及び血液学的変化は、遺伝的背景に依存していることが明らかとなった。嚢胞腎症における腎嚢胞発生機序の解明はようやく第一歩を進んだにすぎない。今後詳細な研究を進めるにはマウスの嚢胞腎モデルのみならず、ラットの嚢胞腎モデルも入手し、巾広い研究が不可欠である。またヒトの嚢胞腎患者には合併症(肝嚢胞、動脈瘤、大腸憩室など)が問題となっている。嚢胞腎マウスで観られた頭蓋内動脈瘤も今後併行して研究を進めねばならないと考えている。
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