研究分担者 |
木村 秀雄 山里産業(株), 研究開発グループ, 主務
飯島 繁 日本特殊陶業(株), 研究部, 主査補
兼松 秀行 大阪大学, 工学部, 助手 (10185952)
八尾 伸也 大阪大学, 工学部, 助教授 (90029299)
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研究概要 |
つぎに示す2種類の実験を並行して行ない,つぎのような研究成果を得た。 1.ベ-タアルミナと希土類酸化物(Nd_2O_3,CeO_2,Pr_6O_<11>)の反応について: 日本特殊陶業製のβ″-アルミナ粉末とNd_2O_3,CeO_2,Pr_6O_<11>の3種類の希土類酸化物粉末を別々に混合し,そのままあるいは圧粉体にして1073Kの温度で20〜300時間保持した後急冷し,X線回析により反応生成物を同定した。その結果,1).Nd_2O_3とPr_6O_<11>はβ″-アルミナと反応し新しい反応生成物を生ずるが,CeO_2はβ″-アルミナと全然反応しない。2).Nd_2O_3とβ″-アルミナが反応して生じた化合物と,Pr_6O_<11>とβ″-アルミナと反応して生じた化合物は,同じ物質もしくは同じ結晶構造の物質であり,β″-アルミナが分解して生ずるNaA10_2である可能性もある。 2.β″-アルミナを固体電解質として用いたSO_xガスセンサ-の製作と性能評価: 固体電解質としては,β″-アルミナペレットをそのまま使用する場合,β″-アルミナの両面にNa_2SO_4を塗布したもの,および両面にプラセオジム酸化物をスッパタしたものを使用する場合の3種類について,つぎのような条件で起電力測定実験を行った。873Kと1023Kの2種類の温度で実験し,熱力学的数値から計算される理論値と比較検討した。参照極としてはair中に1000ppmSO_2を含んだガスを用い,測定極としてはair中に100〜10000ppmのSO_2を含有させたガスを用いた。1023Kでは,いずれの場合も理論値とほぼ等しい起電力値が得られ,応答性も優れている。しかしながら873Kではいずれの場合も理論値と一致しない結果が得られ,応答性も悪い。その中では,プラセオジム酸化物をスパッタしたものを用いた場合が最も再現性,応答性とも優れ,理論値に近い測定値が得られた。以上の結果から希土類酸化物をベ-タアルミナにスパッタする効果は十分認められるものと判断した。
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