研究概要 |
Pr,Ce,Ndをスパッタし,空気中800℃で焼鈍することにより起きるPr_6O_<11>,CeO_2,Nd_2O_3薄膜とNa^+-β"Al_2O_3ペレットの反応を高温薄膜微細構造解析製置を用いて調べた。X線の入射角度を変えることにより,形成される反応化合物の深さ方向の分布を検出することができた。Pr_6O_<11>の場合,種々の化合物が形成されたが,焼鈍時間が長くなると粉末実験で観測された反応化合物のみとなった。CeO_2の場合,CeO_2母相と異なる回折パターンは薄膜のこく表面でのみ観測され,CeO_2はNa_+-β"Al_2O_3と本質的に反応しないことが確認された。Nd_2O_3の場合,準安定相であり,文献からは出現するはずのないC型が現れ,その後A型に変態して,ゆっくりβ"Al_2O_3と反応した。 Na^+-β"Al_2O_3ペレットと空気-SOx混合ガスの750℃における反応を電気伝導の経時変化を調べることにより検討した。電気伝導度は空気-SOx混合ガスを流しだすと急激に変化し,その後ほぼ一定値となった。 Na^+-β"Al_2O_3ペレット表面は1時間以内に安定なNa_2SO_4相で被われることがわかった。 以上の結果をもとにCeO_2による被覆が最良と判断された。Ce_2O_3薄膜で網目状に被覆されたNa^+-β"Al_2O_3ペレットを用いてSOxガスセンサを組立て,センサの応答特性を600℃,750℃で調べた。起電力の平衡値はSOx濃度に対して良好に変化した。特に600℃の特性はスパッタすることにより改善された。SOx濃度の変化に対する応答性は750℃で遥かに改善され,ほんの数秒で平衡起電力に達した。すなわち,Ce_2O_3薄膜をスパッタすることによりセンサの低温特性,とともに応答特性が改善されることが分かった。のように本実験目的が達成されるとともに,β"Al_2O_3ペレット上の薄膜に準安定相の出現が確認されるなどの学問的発展の成果を得られた。
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