研究分担者 |
廿日出 正美 静岡大学, 農学部, 教授 (40091152)
岩花 秀典 東京農工大学, 農学部, 教授 (90038240)
正野 俊夫 筑波大学, 農学部, 教授 (80011922)
藤條 純夫 佐賀大学, 農学部, 教授 (50011911)
近藤 栄造 佐賀大学, 農学部, 助教授 (60039336)
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研究概要 |
(昆虫病原性線虫)スタイナーネマに日本全国に分布する。一方,ヘテロラブダエ科の線虫は比較的温暖な地帯(沖縄から関西に至る大平洋海岸)に分布する。マツノマダラカミキリの雌成虫卵巣に寄生し,寄主昆虫に僞産卵(昆虫卵でなく線虫を産む)させて寄主昆虫の個体群密度を低下させる線虫の生活史が明らかにされた。この線虫は人工培地上の未同定菌を餌として大量生産が可能である。スタイナーネマの宿生認識機構が研究された。この実験に用いたバイオアッセイは簡便で再現性が高く,線虫の宿主選好性,感染性を明示するものである。宿主認識受容体は線虫の体表面の糖蛋白とみられた。昆虫血清中にある誘引物質はペプチドと確認された。線虫は哺乳動物の血清には誘引されなかった。繁殖 に関与する要因が研究された。昆虫体内では大型の第1世代の次に小型の第2世代へと移行するが,人爲的に1個体づつ常に新鮮な栄養培地に移せば,第1世代型成虫を続行する。スタイナーネマの殺虫活性は,共生細菌の抗菌性と蛋白分解能に正比例する。活性の高い共生細菌は人爲的に維持できる。これを種菌として殺虫活性の高い線虫の大量生産が可能となった。線虫は一般に農薬に耐性であるため,総合防除が指向されてきた。しかし線虫と混合施用できる農薬は線虫のニクティティング行動を高揚するか少くとも水と同程度の影響を与えるものしか使えない。 (菌食性線虫)アフェレンクス・アベネは,ミカンジュース絞滓とポテトチップス製造からでるスライス屑の混合培地に非病原性の灰色かび病菌を餌として大量生産可能となった。線虫はRhizoctonia菌やBotrytis菌で大量に繁殖するが,Fusarium菌やPythium菌に強く誘引される。これらの菌での線虫の繁殖は低い。しかし土壌施用では,線虫の誘引・繁殖に関係なく,殆んどの土壌病原系状菌を防除した。線虫は同一菌で継代培養を続けると次第に繁殖力が低下する。維持には餌系状菌を変える。
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