研究課題/領域番号 |
02507001
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研究機関 | (財)大阪バイオサイエンス研究所 |
研究代表者 |
早石 修 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 所長 (40025507)
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研究分担者 |
堺 俊明 大阪医科大学, 神経精神医学, 教授 (20084874)
松村 人志 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第2研究部, 副部長 (50173886)
尾上 浩隆 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第3研究部, 研究員 (80214196)
渡邊 恭良 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第3研究部, 研究部長 (40144399)
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キーワード | ポジトロンエミッショントモグラフィー / ドーパミン受容体 / GABA容受体 / NMDA受容体 / 局所血流 / 神経相互作用 / ムスカリン性アセチルコリン受容体 / 睡眠・覚醒 |
研究概要 |
昨年度までのサルにおける研究において、解離型麻酔薬と知られるケタミンが脳内のドーパミン受容体の結合活性を増加させることをポジトロンエミショントモグラフィー(PET)を用いた実験により明らかにした。本年度はさらに、バルビツール系の麻酔薬であるペントバルビタールについても同様の実験を行なったが、線条体、大脳皮質のドーパミン受容体の結合性はケタミンとは反対に減少を示し、これらの結合活性が脳の複雑な神経のネットワークにより調節されていることが明かとなった。また昨年度の研究によりPETにおけるムスカリン性アセチルコリン受容体のトレーサーとしてその有用性が確認された[^<11>C]-N-メチルピぺリジルベンジレート(NMPB)を用いて同様の検討を行った。その結果、大脳皮質や視床など脳のほぼ全域に存在しているこのタイプの受容体のうち、線条体や海馬などの脳の限られた部位における結合活性のみがケタミンの投与により増大することが見いだされた。さらに、H_2^<15>Oを用いたPETによる脳局所血量の測定を併せて行うことにより、このような麻酔薬による神経伝達物質受容体の結合速度の変化は、対応する脳局所の血流の変化に依存して起こっているのではないことが明かとなった。一方、ラットやサルの脳局所内のマイクロダイアリシス法により組織侵襲なく薬物を投与する方法により、抑制性神経伝達物質であるGABA受容体のアゴニストや興奮性神経伝達物質である非NMDA受容体のアゴニストを睡眠-覚醒を調節する上で脳内で中心的な位置にある視束前野や後部視床下部へ投与すると、これらの刺激により睡眠-覚醒や行動量が著しく変化することが明らかとなった。このことからこれらの部位が意識レベルの調節する上で、GABAやグルタミン酸などのアミノ酸系神経伝達物質による神経ネットワークが重要な役割を演じていることが明かとなった。
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