研究概要 |
本研究の第2年度目は,在日韓国・朝鮮人の生活適応や健康に関する実態把握を目的とし,以下に示す多角的な調査に実施に重点が置かれた,くわえて,在日韓国・朝鮮人の人口推移に関する資料収集と分析も実施した. 1.地域住民調査 (1)健康と生活に関する調査……神奈川県川崎市在住の在日韓国・朝鮮人と,同地域の日本人との各100人ずつを対象として配票留置調査を実施した.両群を比較した結果,(1)主観指標からみた健康水準は,在日韓国・朝鮮人の方が低い傾向にあった.(2)就労男性では,在日韓国・朝鮮人の方が劣悪な労働環境を訴える傾向にあった.(3)疾病の罹患予防や早期発見にかかわる保健行動は,日本人の方がより望ましい行動をとる傾向が示された. (2)在日韓国・朝鮮人の生活適応過程と変化に関する調査……まず,川崎および大阪の在日韓国・朝鮮人の多住地域を選定し,当該地域の関係諸団体に対するヒアリングを数回にわたりおこなった.その成果をふまえて,前項の調査対象者のうち在日韓国・朝鮮人に対してのみ自記式調査を実施した.その結果,母国との人的つながり,ハングル使用,ソ-シャルネットワ-ク,アイデンテティの側面で,1世,2世,3世の間に差が生じていることが示された. 2.患者調査 川崎および大阪・神戸において在日韓国・朝鮮人が多く来院している医療機関4施設をフィ-ルドとし,肝臓病で受診中の在日韓国・朝鮮人の患者と日本人の患者計約160人を対象として自記式調査を実施した.その結果,発症後の受療行動や疾病管理行動において,両群間に差のあることが示唆された. 3.以上のほか,1世ひとり暮し老人および自治体を対象とした調査に着手しており,実査を継続中である.
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