研究課題/領域番号 |
02554004
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
近藤 道也 大阪大学, 核物理研究センター, 教授 (90028100)
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研究分担者 |
田中 正義 神戸常盤短期大学, 助教授 (70071397)
藤原 守 大阪大学, 核物理研究センター, 助手 (00030031)
板橋 隆久 大阪大学, 核物理研究センター, 助教授 (20112071)
鹿取 謙二 大阪大学, 理学部, 教授 (20013485)
小方 寛 大阪大学, 核物理研究センター, 教授 (30025324)
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キーワード | 偏極重イオン源 / ECRイオン源 / スピン荷電変換反応 / レ-ザ-光ポンピング / ビ-ムフォイル分光法 / 円偏光度 / 外部入射装置 / 偏極^3Heビ-ム |
研究概要 |
昭和60年度以来、我々は科研費等の補助を受けて、新しい原理に基づいた偏極重イオン源の開発を進めてきた。この偏極重イオン源はレ-ザ-光ポンピングによって原子偏極したアルカリ原子と多荷イオンとのスピン荷電変換反応を用いたもので、原理的にあらゆるスピンを有する原子核を偏極させることが出来るので極めて有用性の高いものである。一方、大阪大学核物理研究センタ-では、中間エネルギ-核物理の研究を目指したK=400ーMeVのリングサイクロトロンの完成が間近に迫っている。我々は中間エネルギ-偏極重イオン核物理を行う第一歩として、偏極^3Heビ-ムの生成及び加速を目標とした。平成2年度では主として2.45GHzECRイオン源性能の向上、偏極^3He^+ビ-ムの核偏極生成の確認、AVF入射サイクロトロン用外部入射装置の設計・建設に着手したビ-ム輸送系に必要な物品の購入を行った。 ECRイオン源性能の向上に関しては、ECRプラズマチェンバ-用真空ポンプに用いていた油拡散ポンプをやめ、分子ポンプに換えた。 またECRイオン源と下流のビ-ム輸送系の間にゲ-トバルブを入れ、プラズマチェンバ-が常にクリ-ンに保たれるようにした。その結果、^3He^<2+>の生成率が以前に比べ約2倍に向上して少なくとも4eμA以上の^3He^<2+>イオンが引き出された。スピン荷電変換反応した^3He^+イオンの核偏極が確かに起こっていることを示すためビ-ムフォイル分光法を用いた。信頼性の高いデ-タを得るために、円偏光度測定部の改良、偏極検出器部及びスピン荷電変換部前後の真空度の向上を図った。 その結果、^3He核が少なくとも数パ-セント核偏極しているのが確認された。また得られた偏極^3He^+イオン電流は40eμA以上であることがわかったが、更なるビ-ム輸送系の改良による偏極ビ-ム強度の向上、強力レ-ザ-によるアルカリ原子偏極の向上等が今後必須である。
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