研究課題/領域番号 |
02554016
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
菅原 正 東京大学, 教養学部, 助教授 (50124219)
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研究分担者 |
藤戸 輝昭 日本電子(株), 分析機器, 研究員
塚田 秀行 東京大学, 教養学部, 助手 (40171970)
佐藤 直樹 東京大学, 教養学部, 助教授 (10170771)
山岸 晧彦 東京大学, 教養学部, 助教授 (70001865)
小林 啓二 東京大学, 教養学部, 教授 (50012456)
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キーワード | 固体高分解能核磁気共鳴装置 / パルス系列 / 光透過型プロ-ブ / 心体 ^1H高分解能測定 / 固相有機分子ダイナミックス |
研究概要 |
本年度は、日本電子昭島工場において新機能を装備した固体専用装置を、すでに市販されているJMNーGSH270を基盤として製作することに主力を注いだ。その結果、同年度2月に装置本体を設置場所である東京大学教養学部へ搬入することができた。 新型装置の主な改造点としては、(1)パルス系列の最適化に基づき固体 ^1H高分解能スペクトル測定を可能にする(2)測定の低温限界を改良する(3)光透過型プロ-ブを開発する の3点が挙げられる。(2)に関しては、電気系統の材質の電気特性の変化や熱膨張により歪みをも含め、当初からかなり大がかりな改修の必要性が予想されていた。抜本的解決には予算の減額分程度の経費が必要であり、現状ではその全ての改造を行うには非常に困難な状況にある。従って(2)の改造に関しては、当面の部分的改修にとどまらざるを得ない。 一方、(1)の問題については満足すべき成果が得られている。すなわち、パルス系列回路の組替えにより、Rfの位相の切り換えスピ-ドを従来の2μ秒のオ-ダ-から0.3μ秒に短縮する一方、90°パルスの精度をあげる等により、多重パルス系統の最適化に成功した。現在、固体 ^1H高分解能測定(CRAMPS)により、例えば0ートリル安息香酸のメチル、芳香族、カルボン酸プロトンをそれぞれ完全に分離した3本線として観測できるようになっている。今後、この手法を固体内の分子内、分子間水素結合に与えるプロトンについて適応すれば、興味ある知見が得られると期待される。 新型装置を用いた具体的研究課題として、3ーヒドロキシフェナレノン系について見い出された誘電特性の発現機構の解明に着手している。この系において、 ^<13>CNMNRの線形解析によりコヒ-レントな分子間プロトン移動と連動した互変異性の定量的知見が得られている。
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