1電極分離型水晶発振子は、通過する液体の密度、粘度、電気伝導度、誘電率等に依存して、基本振動数が変化するので、通過する物質を見逃すことがない。また、従来のクロマトグラフにおいては、測定条件を一定にして求めた、既知物質および未知物質のクロマトグラムを比較して、それぞれの保持時間から未知物質を同定、定量していた。したがって、全ての物質の保持時間がわかっていないこと、未知物質の同定、定量が不可能であった。そこで、この電極分離型水晶発振子を検出器とする高速液体クロマトグラフを用いて、各医薬品のクロマトグラムにおける保持時間とそれら医薬品の物理定数(分子量、融点、溶解度、酸解離定数など)との間の関係を、共同研究者の三井が開発した多変量解析法の一部である重回帰分析と正準相関分析とから、これら物質の定性定量法の確立を試みた。 2裁判比学試料の保持時間は、1種類の物理定数のみで説明できるものではなく(1種類の物理定数で決定されるものではなく)、複数の物理定数相互間の相関関係で説明できることがわかった。さらに、重回帰分析及び正準相関分析から、同系統の医薬品であれば3〜4種類の、また、異種の医薬品であれば数種類の、試料についての保持時間と物理定数が分かれば、保持時間の明かでない試料の保持時間を、物理定数のみから推定することも可能であることが分かった。 3今後は、高速液体クロマトグラフにこの多変量解析法を組み込んだ装置の開発を試みたい。
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