研究課題/領域番号 |
02554024
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
富永 健 東京大学, 理学部, 教授 (50011531)
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研究分担者 |
樂袋 佳孝 東京大学, 理学部, 講師 (10157563)
福島 貴和 横浜国立大学, 工学部, 講師 (10181257)
福岡 淳 東京農工大学, 工学部, 講師 (80189927)
市川 勝 北海道大学, 触媒化学研究センター, 教授 (70176288)
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キーワード | メスバウア-分光法 / 触媒 / キャラクタリゼ-ション / ゼオライト / 担体 |
研究概要 |
新機能触媒の開発を目的としてメスバウア-分光法による触媒のキャラクタリゼ-ションについてさらに研究を進めた。特に、ゼオライト細孔中で合成したフタロシアニン鉄(II)錯体を対象として、そのキャラクタリゼ-ションならびに反応性について検討した。この合成の際に鉄をイオン交換で導入した場合には、生成した鉄錯体の相当の部分がピリジンなどの極めて付加しやすい配位子に対しても不活性となった。これはイオン交換の際に酸点が生成するためと推定される。ピリジンの酸点に対する吸着はフタロシアニン鉄(II)との付加錯体の生成との競争となり、錯体の生成を阻害したと思われる。また、ゼオライト細孔内の酸点がピリジンで全て占められた場合にも立体障害のために付加錯体の生成はやはり不利となることがわかった。このような特異な反応性を持つ鉄錯体には独特な触媒活性が期待されるので、調製条件について検討した。鉄をカルボニル化合物としてゼオライト細孔に導入した場合には不活性なフタロシアニン鉄(II)は余り生成しない。これは鉄の導入に伴って酸点が生成しないためとみられる。しかし、鉄の導入量が大きな場合には細孔内にピリジンとの付加錯体が生成する空間が十分にないため、この付加錯体の生成はやはり阻害された。ゼオライト細孔の大きさも収率に影響を与えると考えられた。イオン半径の異なるアルカリ金属イオンを導入して、細孔の径に対する不活性なフタロシアニン鉄(II)の収率の依存性を求めたところ、細孔径が収率に大きな影響を与えることが示された。シリカゲル担持触媒や粘土鉱物を担体とした触媒の前駆体についてもメスバウア-分光法によるキャラクタリゼ-ションを行った。例えば粘土鉱物に鉄を導入した後、酸化した場合には、粒径が大きい酸化鉄は生成し難く、担体の構造が生成する触媒の形態に大きな影響を及ぼす可能性が示唆された。
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