研究概要 |
本研究費申請時には市販の電顕薄膜作製用のイオンミリング装置を購入しこれを改良してアトムプロ-ブ試料針作製用装置にする予定であった.しかしこの方法では作製された針の形状を評価することが困難であることと,イオンビ-ムの入射角度を大きく変化させることが出来ないことが分かったので,新たに最初から試料針作製用の装置を設計製作することとした.このため本年度はその基本設計に大部分の時間を費やした.試料形状評価には走査電顕が最も適していると考えられるので,イオンミリング装置の鏡体内に走査電顕を組み込むこととした.設計概念は以下の通りである.1.まず装置の付加価値を高めるために,アトムプロ-ブ用針状試料だけではなく電顕用の薄膜作製にも使用できるようにすること.2.またイオンミリング中に試料の温度上昇による試料への熱影響を取り除くために試料ホルダ-部を液体窒素により冷却する.3.試料の調製状態をモニタ-するために走査電顕を鏡体内に組み込む.4.電顕試料に対しても針状試料に対しても最低15度の入射角でイオンビ-ムを打ち込めるようにする.5.試料交換を迅速に行なうためにエア-ロック室を設けるなどである.これらの概念に従いこれまでに鏡体の設計を終え,現在のところイオンミリングに適したイオンガンを設計しているところである.このように従来市販の装置を改良して試料針作製用装置とする予定であったものを,鏡体から全てを作製する方針に変更したので初期の予定通りのスケジュ-ルでは進んでいないが,すでに基本設計を終え鏡体の作製も終わっているので,計画は順調に進んでいると言える.また本年度が本研究計画の所年度であるのでこれによる成果の発表はまだ無い.
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