研究課題/領域番号 |
02555008
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
宮本 信雄 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (00006222)
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研究分担者 |
渡辺 文夫 助川電気工業(株), 主管技師
宮本 和夫 ムサシノエンジニアリング(株), 主管技師
末光 眞希 東北大学, 電気通信研究所, 助教授 (00134057)
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キーワード | 超高真空 / 極高真空 / アルミニウム真空 / ガス放出率 / 光電子分光 |
研究概要 |
本年度は極高真空用アルミ表面処理法の開発ならびに評価試験を行った。 1.各種アルコ-ル切削表面のX線光電子分光評価 アルコ-ルを切削剤に用いたアルコ-ル切削処理アルミ表面についてX線光電子分光(XPS)評価を行い、(1)アルコ-ル切削アルミ表面には用いたアルコ-ルの種類によらず膜厚20ー30Aの酸化膜が形成されていること、(2)アルミ最表面は切削に使用したアルコ-ルに対応するアルコキシドに一層分覆われているが、酸化層内部への炭素取り込みはほとんど無いこと、(3)アルコ-ル切削処理においては切削中にすでに酸化が生じていること、を明らかにした。 2.アルミ鏡面処理の開発 XPSより明らかとなったアルコ-ル切削処理における酸化膜形成機構を基に、アルコ-ル切削をベ-スとした新しいアルミ鏡面処理技術の開発を行った。その結果、既存のアルミ鏡面処理に比べはるかに薄い、20ー30Aの酸化膜厚を実現する事が可能となった。 3.スル-プット法によるガス放出率評価試験 いくつかのアルミ表面処理について、実際に真空容器を製作しそのガス放出率を測定した。検討した表面処理は、人体に対する安全性および経済性の点から選択されたイソプロパノ-ル切削(IPL)、(2)の鏡面処理、および比較のためのエタノ-ル切削(EL)の3種類である。その結果、(1)イソプロパノ-ル切削はエタノ-ル切削と同様の極めて低いガス放出率を示すこと、(2)アルミ表面処理においては、処理表面の酸化膜厚が同程度の場合に限り、表面粗さとガス放出率の間に明確な相関関係が存在すること、が明らかとなった。 本年度の成果であるアルミ表面鏡面処理は極高真空用表面処理として極めて有望である。
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