研究課題/領域番号 |
02555009
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理計測・光学
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
西川 治 東京工業大学, 大学院総合理工学研究所, 教授 (10108235)
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研究分担者 |
石川 雄一 日立製作所, 機械研究所, 主管研究員
富取 正彦 東京工業大学, 大学院総合理工学研究所, 助手 (10188790)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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キーワード | 極高真空 / 電界放射 / 電界放射型極高真空計 / 映像型ファラディ-ケイジ / Ultra-High Vacuum / Imaging Faraday Cage / Vacuum Gauge |
研究概要 |
本研究の目的は電界放射の利点を利用して超高真空計を開発する事にある。ここで、電界放射とは、金属や半導体の表面に〜0.5V/AÅという高電界を印加し、トンネル現象により表面から電子を放出させる現象を言う。この現象では、トンネル電流は放射面の状態により、極めて敏感に大きく増減するので、本研究では、真空中の残留ガスの放射面への吸着による放射電流の時間変化率から真空度を測定するとこになる。測定素子である電界放射面は、電界放射顕微鏡(FEM)の針状試料を先端の半球面である。 研究は以下の項目順に進められた。(1)既存の真空装置を改善し、到達真空度を10^<-11>Torrから10^<-13>Torrまで上げる。(2)単一の針を真空装置内に装着し、真空度と放射電流との相関を明らかにする。(3)針に用いる金属の放射特性の差異を調べる。(4)放射電流を効率よく精密に測定できる方式を開発する。(5)単一の針の放射特性が明らかになると、針の数を順次増やし、吸着面を広げて真空計の感度を上げる。 項目(1)については、既存の真空チャンバ-に高排気容量のイオンポンプを装着したが、10^<-11>Torr以上の真空度は得られなかった。真空チャンバ-内面を金の薄膜で清浄化する必要があると考えられる。項目(2)については、10^<-8>Torrから10^<-11>Torrまでの真空内で、単一の針から放射される電流の吸着による変化と揺らぎが測定され、放射電流の変化率が真空度と比例する事が確認された。項目(3)では、放射面を吸着に活性なWから不活性なIrに換え、測定素子としては、放射面が活性であり、吸着による電流変化の大きいWが望ましいとの結論が得られた。項目(4)では、電流を効率よく測定するために映像型ファラディ-ケイジが開発・作製された。この方式利点は、測定素子となる複数の針からの全電流を測定出来ると同時に、個々の針からの放射特性が一目で評価できる点にある。しかし、項目(5)の複数の針の測定効果については。項目(4)の終了後の今後の課題となった。
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