研究概要 |
本研究は分光光源として有用な可変波長コヒ-レント光の発生可能域を,従来困難であった波長70nm以下の極端紫外域に拡張することを目的としている。その方法として2台の高出力の可変波長色素レ-ザ-を,ガス媒体中での反スト-クス誘導ラマン散乱と二光子共鳴四波混合を組合せて周波数変換する新しい手法を提案している。本年度は,まずその基礎となるガスジェット中での四波混合,反スト-クス光の発生,色素レ-ザ-の高出力化について実験を行ない,以下の成果を得た。 1.水素分子ガスジェットがArFレ-ザ-波長で二光子共鳴することを利用して,可変波長ArFレ-ザ-の共鳴第3高調波を66nm域で効率よく発生させた。 2.さらに,色素レ-ザ-光を混合して,70nm台での可変波長コヒ-レント光の発生に成功した。 3.可変波長ArFレ-ザ-光を水素ラマンセルによってラマンシフトさせたあと,水素ガスジェット中に注入し,ラマン光との間の四波混合が起こることを確認した。 4.これらの実験と並行して,短パルス高出力色素レ-ザ-の開発を進め,パルス幅50psecで80MWの出力を500nm付近で得た。 この他,反スト-クスラマン散乱光と色素レ-ザ-との四波混合実験も現在進行中であり,基本的に最初に提案した70nm以下の極端紫外光発生の見通しを得ることができた。今後は短パルス色素レ-ザ-の高出力化が大きな課題である。
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