研究分担者 |
山中 秀介 三井東圧化学(株), 技術研究所, 主席研究員
阪上 隆英 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (50192589)
西川 出 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (90189267)
三好 良夫 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (40029434)
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研究概要 |
前年度までに得られた知見をもとに,本手法をさらに高分解能・高精度化するための検討を行った.特に断熱温度場法による複合材料,接合材料の微小剥離欠陥検出の分解能向上を中心課題とした.得られた研究結果を以下に総括する.(1)数mm四方あるいはそれ以下の計測視野での温度分布計測をもとに微小な欠陥損傷の計測を行う場合に,欠陥の存在により現れた温度変化領域の熱拡散による消失を防ぐため,赤外線透過低温体を用いた固体接触による高効率な冷却方法を検討した.(a)接触冷却による欠陥検出の数値シミュレーションを行い,接触物体の温度,熱伝導率あるいは計測時刻等欠陥検出に最適な冷却条件の検討を行った.(b)複合材料の人工剥離欠陥検出を行った結果,空気冷却に比べはるかに高効率かつ均質な冷却が可能であり,接触冷却により欠陥検出分解能を高めることができることが明らかになった.(2)接触冷却時,赤外透過物質の接触面に付けた高放射率膜に,サンプル表面温度を転写計測する方法を開発し,欠陥検出に応用した.転写計測された温度分布をもとに複合材料中の人工欠陥計測を行った結果,サンプル側に黒色塗膜を施すことなく正確な温度分布計測,さらには欠陥検出が可能であり,転写計測法の有用性が示された.(3)電子部品材料に用いられている,銅-ポリイミド接合フィルムの接合界面に存在する,微小な剥離欠陥の検出に上記の手法を適用した.表面材料である銅の高い熱拡散性,低い放射率にもかかわらず,直径1mm程度の微小な剥離欠陥の検出が可能であり,本手法の実用性・有用性が示された.(4)これまでの検討を通じて,サーモビジョンを用いた欠陥検出法が複合材料の剥離欠陥・損傷の計測に対し特に有用であり,加熱冷却法の検討により微視的視野での高分解能・高精度な微小欠陥損傷評価が可能な,サーモビジョン顕微鏡欠陥損傷評価システムの構築が可能であるという重要な結論を得た.
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