研究概要 |
本年度は,回転2軸にポリゴンミラ-を取リ付けその鏡面の角度差の変化をオ-トコリメ-タの原理で読取る方式の回転同期誤差検出器の光学系を設計,プロトタイプを試作してその基本性能を調べた。 光学系の設計では,二つのポリゴンミラ-の間の光路上に配置する固定鏡の位置を厳密に計算することで,光路幅縮小用のレンズを用いない形式の光学系を実現した。このことで,測定系が原理的に変位に感じないものになったため,回転軸,光学系などの横振動の影響を受けない高剛性のシステムが実現出来た。ただし,このために一対のポリゴンミラ-の半径を変える必要が生じて光学系全体のコストはかなり増加した。 プロトタイプ試作機の校正実験では,製作した差動角度検出系(設計分解能0.08秒)の分解能は,繰返し精度で,±2秒程度となった。また,ポリゴンミラ-の面精度が原因で,オ-トコリメ-タの角度出力特性が直線から10秒程度離れる現象が見られ,その直線からのずれの形も,面によって数秒変化することが判明した。そこでポリゴンミラ-全面の校正デ-タを記憶し,実際の回転むらの測定でそれを補正に使う必要があることが確認された。また,測定系のドリフトが1分以内の短周期の変動で±2秒程度あることが判った。このことから光源の半導体レ-ザ出力のドリフトが,繰返し誤差の主原因になっていることが明らかになった。このため,当初計画では省略していた光源の温度制御と変調駆動を実施するのが望ましいという示唆も得た。また,プロとタイプの製作と調整から,次に作る実機では,光学系の微調整が容易な構造に改める必要が明らかになった。 今後,もう少し,このプロトタイプでの基礎実験を行ない,実機製作の基礎デ-タを得る計画である。
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