研究概要 |
本年度は,光学系の固定鏡の配置などを昨年度の研究で明らかになった最適の位置に調整して,光軸の再調整を行った.これによって,当初の計画通り二系統の光学系で,ポリゴン鏡1面15゚を7.5゚づつに分担して測定する方式を実現した.試作機で,一対の歯車をかみ合わせたときの2軸の回転同期誤差の測定を試みた.その結果,ポリゴン鏡の面が遷移するエッジ部を除いて,1回転中の全かみ合い周期について回転同期誤差の変化を計測できることを確認した.1かみ合い周期での250"の変動波形が,1"〜2"の繰り返し誤差で再現された.なお,ドリフト特性から評価するとその精度は約0.6"/5分となった.歯車の偏心が大きく,測定範囲を広げる必要から角度分解能はこれ以上高められなかったが,測定範囲を狭くして倍率を上げることでドリフト特性は0.4"以内になった.測定点の位置の違いも含め,同じ速度での測定の繰り返し誤差は1"以下にならなかったが,ロ-タリエンコ-ダ方式で実現されている低速の歯車の回転誤差測定システムの最高精度に較べても同等以上の良い結果である.結果のばらつきが大きくなるので回転速度は100rpm以上にはしなかったが,この速度もロ-タリエンコ-ダによる測定システムの上限を超えている.システムのサンプリング速度の評価からは,回転軸の速度で約1700rpmまでは対応でき,アナログ信号を一度デ-タレコ-ダに記録する方法をとれば信号の応答速度としては現実の歯車の速度には全て対応できる.今後の課題として,精度の良い歯車で,負荷を加えた状態で,高速回転で測定してみる必要がある.光源の投射ビ-ムを振って2軸の回転速度比が1でない場合に対応できることを実験で確認することも今後の課題として残った.
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