研究概要 |
超低落差用にダリウス形横流水車を考え,本年度行った調査として,1.導入管形状によるランナ性能の向上:現有の平行壁流路を拡大流入流路に代えることにより約5%の翼効率の向上を得た.しかしこの場合,導入管部での流速増加による付加的流れ損失を伴うため総落差に対する水車全体の効率は平行壁流路と大差ないことが知られた.2.導入管部での案内羽根設置によるランナへの流入流の最適化:流れ損失の低減から導入管部に縮小流入流路を用い,しかもランナ翼の発生トルクの増大を図る目的から案内羽根による流入流最適化試験を行ったが,現状ではその有効性が見いだせなかった.3.ランナ翼性能推算プログラムの改良と検証:供試翼に対して導かれた推算法を,種々の翼形状・取付け姿勢及び広範囲の速度比でも適用可能なように改良を加えた結果,最高効率点を挟む比較的広い範囲で精度よく予測できることがわかった.しかし自己起動調査時に必要となる低速度比では翼特性の動的効果のため,現状では不十分なことが知られた.4.軸系の各要素での損失トルクの定量化とその低減:ランナへの翼固定法,すなわち軸より伸ばしたア-ム端に翼を取付ける方法とディスクを軸に取付けて翼を固定する方法について損失トルクを実測調査し,ランナピッチ円直径によってその大小関係が変わることがわかった.5.水位・トルク等の動的特性の定量化:発電機及びクラッチ等のシステム構造を検討して個々の特性を定量計測するとともに,自己起動から正常運転点への移行過程における諸パラメ-タを連続計測し,数値シミュレ-ション結果との比較を行い,その一致性を確認した.6.吸出し管形状による流れ損失の低減化:水位可変調整装置を組込んだ供試模型を製作し,次年度継続研究に向けての装置の改造を行った.今後は実機に近付けた装置を用いて,高性能設計法,高効率運転法及び設置計画法を確立し,その検証を行う予定である.
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