3年間にわたり行なってきた研究を通じ、所期の目的を達成した研究成果は、以下の通りである。 (1)形状記憶合金アクチュエータによる翼形状の制御翼形状を変形させることによるターボ機械の作動範囲拡大および特性の制御を意識して、形状記憶合金利用の翼変形アクチュエータを搭載した翼を試作し、その動作を確認した。これにより、原形状翼を分割しその分割片を形状記憶合金で接続するという単純な可変機構によって、翼を変形させることが可能となった。 (2)可変形状翼による流れのはく離の抑制翼を変形させることにより、原形状におけるはく離域を減少させうることを確認した。 (3)はく離検出センサの開発供試翼の分割部の隙間に流れの方向検出用のセンサを設置し、これにより翼面からの流れのはく離を検知することを試みた。このセンサを搭載した可変形状翼を試作し、その有効性を確認した。 一方、当初の目標に対して十分な成果が得られず、今後引続き研究を継続する項目は、以下の通りである。 (1)可変形状羽根を有する羽根車の開発当初、羽根車の試作まで行なう計画であったが、アクチュエータとしての完成度、強度上の問題から単独翼の段階に留まっている。 (2)翼の能動的知能化センシングシステムの開発流れのはく離などの特異現象の検知、アクチュエータの作動、翼形状の変化、に至る一連の機能を実現するシステムを完成させる段階には至っていない。この目標を達成するにはなおいくつかのブレークスルーを必要とし、今後引続き研究を進める。
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