研究概要 |
1.低温回流型風洞の改造 既設の低温回流型風洞を大幅に改修した.特に,液滴供給部,拡大部,および供試円柱を改造した.試験部は,高さ840mm,幅200mm,奥行を200mmとした。試験部上端より600mmの位置に,直径25mmの供試円柱を3本取りつけた.円柱間の軸間距離は45mmとした.気流速度はダンパにより調整し,気流温度は冷凍機と風洞内に設置したヒ-タ-により調節した.噴霧する水溶液は,貯水タンクで冷却したのちポンプにて風洞上部まで供給し,さらに熱交換器にて所定の温度まで冷却した。 2.着氷形状に及ぼす各因子の効果 検討する因子として,気流速度,気流温度,噴霧液滴径,噴霧液滴量,および噴霧時液滴温度を採用した.気流速度が大きくなると,円柱上部氷層が厚く,円柱下部にできるつららは太く短かくなる.これは,凍結時の潜熱移動が関与している.噴霧された液滴は,円柱上部に衝突して凍結するが,その一部は凍結せずに円柱下部に流れ落ちてつらら状に凍結する.この場合,気流速度が小さいと,氷層上液面からの凍結潜熱移動が小さいため,液滴は円柱下部へ大半の液が流れ,細長いつららが成長することがわかった。液滴温度が高い場合および液滴径が大きい場合には,凹凸の大きい氷層表面が得られることが明らかになった。 3.リキッドアイス生成量に及ぼす各因子の効果 リキッドアイス生成量は,気流温度の低下とともに増加するが,ー12℃以下ではほとんど一定となることがわかった.一方,気流速度の効果では,4m/s程度より増大するにつれリキッドアイス生成量は増加する。しかし,6m/s付近で最大となり,その後は速度の増加とともに低下することがわかった.したがって現在の実験条件の範囲では,気流温度ー12℃,気流速度6m/sの場合に,最適の製造条件であると言える。
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