研究概要 |
1.凍着氷体の解析モデルによる検討 気流速度,気流温度,液滴初期温度,および液滴流量などの因子が与えられた場合,物体上に凍着するリキッドアイス形状,リキッドアイス内の濃度分布などを推測するための解析モデルを導入した.その場合,(1)物体表面上の凍結形状は二次元であり,(2)液滴のトラジェクトリは直線的である,(3)物体まわりの熱および物質伝達率は,単相流の値と同じであり,両者の間にはルイスのアナロジーが成立する,(4)液膜流は足常層流で,波立ちおよび液滴の飛散はない,(5)氷層からの溶質の析出は無視できるなどの仮定の下に,熱バランス,質量バランス,および濃度バランスの式を遂次積分するという方法を用いた.その結果,以下の事柄が明らかになった. (1)水平円柱まわりの上部氷層は気流温度が低いほど厚くなり,また,気流速度の変化に伴い着氷形状の変化が認められる.一方,解析値は,気流速度が10m/s以下の範囲で実測値とほぼ一致し,本解析モデルを用いて,気流速度10m/s以下における着氷形状および氷厚の予測が可能である. (2)水平円柱まわりの氷層内塩分濃度は,下流側に行くにしたがい大きくなり,解析値(φ≦90deg)は実験値とよく一致する.さらに,氷層内に含有するブライン量に関与する結晶粒子径は,よどみ点より下流側へ行くにしたがい大きくなる. 2.リキッドアイス迅速製造法の最適条件に関する検討 気流温度および気流速度には,最適条件が存在することを,実験的および解析的に行うことを見出した.気流温度は,エチレングリコール水溶液の濃度が10wt%の場合,-11℃〜-13℃,気流速度は,5.5m/s〜7m/sの値である.この値は,工業上非常に有用な試料である.
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