研究課題
試験研究(B)
半導体製造装置や超精密工作機械を対象とした位置決め装置で、10mm離れたPoint to Point方式での位置決め精度をナノメ-タ(nm)オ-ダに、目標位置の±10nmに入る整定時間を300ms以下にする研究を行った。昨年度製作した装置で、すでにnmオ-ダの位置決め精度を得ているので、本年度は高速化達成の為、次のような事項を実施して整定時間の短縮をはかった。(1)ARV(Anti Residual Vibrationの略)システムの使用による残留振動の低減、(2)制御法の改善(1)については、プラスチック化により軽量となったテ-ブルに付加質量を取り付けて合計質量を2〜4kgとしたとき、テ-ブル加減速時の慣性力の反力により発生する定盤の残留振動を殆どなくすことに成功し、テ-ブル合計質量大小の如何に拘らず、昨年度より20〜60ms短い整定時間を得た。(2)については、テ-ブル移行を粗動と微道に分けて、まず粗動では従来のゲイン一定の比例制御に代えて、ゲインを目標位置寸前の200nmで10倍にすることによりテ-ブルを目標位置に十分近づけておき、それに続く微動では積分制御を行うことにより、10mmストロ-クのステップ応答を100回繰り返したときテ-ブルが目標位置の10nmに入る整定時間の平均を247msに、また位置決め誤差は確実にnmオ-ダとなり、高速ナノメ-タ位置決めを達成した。本研究では、装置にプラスチックをふんだんに用いる予定でいたが、切削によるプラスチックの加工は、プラスチックの反りなどの問題を含んでいて加工精度を十分出せず、プラスチック(三菱瓦斯化学製BTレンジ)を、テ-ブルと、送りねじナット間のフロ-ティングユニットの2カ所に使用するにとどまった。プラスチック加工について今後の研究が必要であることがわかった。
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