研究概要 |
立体形状を成形する場合,CAD・CAMの発達により,製作の省力化,自動化が進められてきた。しかし,これから求められるであろう多品種少量生産を考えた場合,従来の方法では,成形の柔軟性やコスト面に難点がある。そこで,短期間かつ低コストで,容易に形状の変更ができ,複雑な内部形状を持つ三次元モデルの一体成形ができる成形として,コンピュ-タに入力されたモデルの三次元デ-タに基づき,柔軟体粘性材料を微少量ずつ吐出し,二次元形状を一層ずつ順に積層していくことで任意の三次元形状を構築するという成形法の開発を行なった。 前年度までの研究成果により,使用する材料およびディスペンサのノズル径を変えることにより成形品の肉厚,二次元断面形状一層の厚さ,表面性状にも変化を与えられることがわかった。またディスペンサのノズルを成形中の二次元断面の一段下の層に対して,吐出される材料を接触面積が最大であるような方向に傾ける方法が最も安定した成形法であることもわかった。そこで,ノズルを吐出材料の接触面積が最大になるような方向に制御できるような2軸成形台を開発しその有効性を確認した。より安定な成形を目指し,また,形状の多様化,成形時間のスピ-ドアップを図るため,高精度,高性能なロボットア-ムを導入し,システムの見直しを図った。さらに,成形物とノズルの接触を防ぐため,ノズル角度を制御する装置を設置した。 成形法自体の新たな試みとして,重力によるたわみへの対策として,鉛直下向きの成形(これを逆さ成形とした)を行ない,成果を上げた。また,表面形状を滑らかにするために層厚を変化させる成形を行ない,成形形状の向上を目指した。ソフトウェア面では,3枚の断面デ-タから形状デ-タを算出する,補間プログラムを開発し,複雑な形状デ-タの取得を容易に行なえるようにした。
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