研究概要 |
本研究課題に関する補助金交付の最終年度である。 導電性粒子を混入した樹脂電極と,被加工材料間にパルス性のマイクロ放電を点呼した.特に,放電ギャップは数〜数十μmと極徴小であり,しかも絶縁液(白灯油)中に設置されている. 今年度は,工業界への応用開発に主力を注いで研究し,以下の成果を得た. 導電性粒子混入の樹脂電極は,樹脂材料により熱可塑性や熱硬化性の特性を持っている.製作した物は,常温でナイフで自由に彫削できたり,常温ではかなり堅いが約200℃で軟化させることもできる. この柔らかい導電性樹脂電極を工具とし,超硬合金や鋼材表面に熱影響を与えた.その結果,今年度の成果として, (1)印鑑状の樹脂電極を工具とし,ナイフの刃にさえ刻印ができる. (2)かなり複雑な凹凸があっても金属の表面下,約20μmの均一な深さに約700℃の熱影響を与える事ができる.つまり特徴ある表面焼き入れ法を開発した. (3)加工した表面は放電痕によるマイクロ凹凸の面である.表面積の拡大効果があり,接着性強化や鍍金面の剥離に対する強化等に役立つであろう. (4)被加工材料表面に,放電柱周囲液体の成分付加が可能である. (5)樹脂電極の,繰り返しパルス放電による消耗が激しいことが最大の欠点である. (6)面に熱影響を与えるには,樹脂電極表面と対面する被加工材料表面全体に,満遍なく放電する場所が分散しなければならない.分散の度合を決定する要因の一つが,パルス放電毎に発生するガスの挙動に左右される可能性が大変高いことを明らかにした.
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