研究概要 |
本研究では、6HーSiC(0001)Si面、(0001^^ー)C面にオフアングルを導入することで基板表面のステップ密度を制御し、その上に6HーSiCの原子ステップ制御エピタキシ-を行った。本研究により得られた結果は下記の通りである。 1.6HーSiC基板を用いて、主に1,500℃で結晶成長を行い、次の結果を得た。 (1)6HーSiC(0001)Si面、(0001^^ー)C面ジャスト基板上には3CーSiC(111)双晶が成長する。このとき、基板上での3CーSiCの成長核発生密度はC面の方がSi面に比べて大きい。 (2)Si面オフ基板ではオフ方向により成長の様子が異なる。[112^^ー0]方向オフ基板上には6HーSiC単結晶のみが成長する。一方、[11^^ー00]方向オフ基板上では長時間成長につれて6HーSiC成長層に3CーSiCの混在が進んでいく。 (3)C面オフ基板では[112^^ー0]、[11^^ー00]両方向のオフ基板上で6HーSiC単結晶が成長し、3CーSiCの混在は起こらない。 (4)成長条件の最適化によって、1,200℃の低温においても高品質単結晶成長ができる。 このことから、オフ基板を用いた原子ステップ制御エピタキシ-法によれば、従来の方法に比べて300〜600℃以上低い温度で表面の極めて平坦な高品質のSiC単結晶を得ることができること、および、このときの基板のオフ角度は3〜6°が最適であることが明らかになった。また、原子ステップ制御エピタキシ-の成長機構に関して考察し、成長機構をステップへの付着による横方向成長とテラスでの2次元核発生による成長のモデルを用いて説明した。 2.TMAを用いたA1のド-ピング、N_2を用いたNのド-ピングを行い、成長層の電気的、光学的特性を評価した。 (1)TMA流量を変化させることにより、p形層キャリア密度を4x10^<17>〜8x10^<20>cm^<ー3>の広い範囲で制御し、0.1Ωcm以下の低抵抗p層を得た。 (2)Nのド-ピングにより、n形層キャリア密度を10^<17>cm^<ー3>台で変化させることができた。電子移動度は140〜200cm^2/Vsであり、従来の成長法により高温で製作したものに比べて遜色のないものが得られた。 現在、アンド-プ層の高純度化を図る研究に取り組んでいる。
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