研究概要 |
本研究で採用した酸素分圧制御水熱法により,酸化亜鉛の通常の物性であるn形の半導体の物性を,過剰Zn(もしくはO欠陥)を減少させ得ることが明らかになった。また,大形化については,容積の大形化により行えることもわかってきている。以下に2年度目までの成果を述べる。 1.育成法について 方法的には,人工水晶の合成法と同様であるが,使用する育成溶媒が高濃度アルカリと酸素発生剤のH_2O_2を添加するため,耐アルカリ,耐酸素の条件を満す白金製の育成管を用いる必要がある。価格的に高価となるため,大形単結晶の合成にはこの点の考慮が必要となる。本研究では現在までのところ5×5×10mm大の高純度,すなわちZn過剰分が数ppmのものまで得られるようになっている。尚,通常のアルカリ溶媒のみの育成では10×10×20mm大のものは得られているが,Zn過剰分は一桁大きな値を示している。 2.育成単結の物性評価 ストイキオメトリの評価は,ク-ロンメトリ法で行い,それらの試料について,電気抵抗率,光学的性質を調べた。高純度(Zn過剰分数ppm)結晶は,光学的な吸収,光導電特性の結果から,Zn過剰によるドナ濃度は減少し,ZnOの基礎吸収端とほぼ一致していることが明らかになっており,過剰Zn量の減少と抵抗率の上昇ともよい一致を示している。 また,溶媒中に入れたLiイオンもZnサイトに入っていると思われる,アクセプタ・ライクの光導電ピ-クも示していることがわかった。これは,今後,圧電半導体としての応用(センサ)にも興味がもたれる。移動度も数十cm^2/VIS程度を示している。
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