研究概要 |
書換え可能LSI(FPGA)用シリコンコンパイラのアイデアを申請したのは平成元年である.その当時は,限られた研究者のみがFPGAの研究を行っていた.しかし,現在では,FPGAは世界中の多数の研究者・技術者の注目を集めるようになった.実際,LSI設計に関する大きな国際会議では,FPGAに関する特別セッションが設けれ,また,FPGAに関する国際会議も新設され年に二回開催されるようになった.FPGA技術の急激な進歩によって,最初の研究計画も手直しが必要となった.平成元年に申請書に書いたものと類似のシステムが最近アメリカやヨーロッパで開発されたため,研究主力を単なるシステム開発ではなく,システム中で最も重要な論理合成のアルゴリズム開発に集中した.その結果,重要な理論的成果が得られた. 1.従来法に比べ格段に能率のよい論理合成法(一般化関数分解法)を開発した.従来法では,実現すべき機能をAND,OR,NOT等の多段論理回路を設計し,それをFPGA回路に変換していた.そのため,余分な設計時間がかかり,多数の素子を必要とする欠点があった.今回開発した一般化関数分解法では,設計仕様をBDD(Binary DecisionDiagram)と呼ばれるグラフに変換し,それを直接FPGA回路に変換するため,従来法に比べ設計時間が短く素子数も大幅に少なくてよい.また,配線も規則的になるため,全体として,高性能なLSIが開発できるようになった. 2.FPGA向きの論理合成法として,EXORゲートを用いた論理合成法を開発した.EXORゲートを用いると,ANDやORゲートのみを用いた場合に比べ、ゲート数や接続線数を減らせるため,FPGAの論理合成に適していることを明らかにした.
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