研究概要 |
(1)液晶によるレンズの基本設計と試作:種々のネマティック液晶における光学定数を用いて,液晶によるレンズの設計の基本指針を確立し,最適な液晶材料を選定し,有限要素法により電界中における液晶分子の配向特性について解析を行った。次に,これらの結果を用い,又三次元測定・作業顕微鏡を用いて,透明電極をコ-トしたフレネル構造のプラスチック基板とガラス基板の間に液晶を封入し,直径が25mmで液晶層の厚みが最大で数10μm程度の液晶レンズ,及び円形パタ-ン(直径700μm)状に電極を取り除いたガラス基板間に液晶を封入した構造の液晶マイクロレンズの2種類の液晶によるレンズを作製した。 (2)試作した液晶レンズの諸特性の測定と光ディスクメモリヘッドへの適用のための基礎実験:フレネル液晶レンズを用い,半導体レ-ザからの発光出力をコリメ-トし,その透過光(平行光)を液晶レンズで集光し,CCDラインセンサ及びパ-ソナルコンピュ-タにより構成した光強度分布測定システムにより焦点近傍でのスポット形状を測定した。焦点距離はレンズへの印加電圧が1.0vから6.0vの間で18cmから75cmまで変化した。この間,焦点のスポット形状はほぼ一定であり、可変焦点距離は光ディスクメモリヘッドの要求可変量を十二分に満足した。次に,液晶マイクロレンズを用い,その透過光を対物レンズで集光して焦点のスポットの形状を測定した。焦点スポット形状の変わらない焦点可変範囲は今回の実験では2mm程度になり,光ディスク回転時の定位量規格(要求最低可変量)±2mmには近い値が得られた。 (3)特性の評価:今年度試作を行った液晶レンズにおいては,焦点の可変範囲としてはある程度当初の予定に近い特性が得られたが,集光特性としては更に改善が必要であり,次年度以降の検討課題となった。
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