研究概要 |
本研究は,弾性波による高精度地下情報計測を実現するための,広帯域坑井内三軸弾性波検出システムを開発しようとするものであり,本年度は次の研究を実施した。1.小型加速度センサ-の開発:せん断型三軸圧電加速度計を製作し,加振器を用いて感度,クロス感度の評価を行った。その結果当初の設計性能(耐熱150℃,共振周波数10kHz,クロス感度5%未満)を達成できた。2.小型前置増幅器,電子方位計の開発:センサ-を含めた雑音特性を考慮した小型前置増幅器,電子方位計の開発を行い,設計性能を達成した。3.ゾンデ本体の開発:小型化を念頭においた実装方法を検討し,製作を行った。さらに,オ-トクレ-ブを用いて,その耐熱・耐水性能試験ならびに固定ア-ムの動作試験を行い,最終的に設計仕様を満足するものが完成した。4.性能評価法の理論的検討:坑井内弾性波検出器の性能はそこで用いられるトランスジュサ-ばかりではなく,ゾンデ全体の共振,坑壁への固定制能,ケ-ブルの影響等があるため,その性能評価は容易ではなく,これまで適切な評価法がなかった。そこで本研究では,スペクトル行列を用いた周波数領域における三軸粒子運動の検出能の評価法について理論的に検討を行い,本方法が有効であることを明らかにした。5.フィ-ルド実験:既存坑井内三軸弾性波計測システムを用いてフィ-ルドにおけるキャリブレ-ション実験を行い,スペクトル行列を用いた性能評価法により解析を行った。その結果,既存システムの三軸粒子運動の検出能を合理的に評価することができた。
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