研究概要 |
本研究は,弾性波による高精度地下情報計測を実現するための,広帯域坑井内三軸弾性波検出システムを開発しようとするものであり,昨年度は主にシステムの開発を行った。本年度はその性能評価に関して次の研究を実施した。1.東八幡平フィ-ルドにおける性能評価実験:本フィ-ルドの実験井においてゾンデの耐水,耐圧性,固定ア-ムの性能を評価するとともに,坑井内エアガンにより弾性波を発生させ,そのときの3軸粒子運動を検出・記録した。さらに,得られたデ-タを前年度開発したスペクトル行列を用いた解析法により解析し,ゾンデの共振特性ならびにその3軸粒子運動検出特性への影響,クロスセンシティビティ,検出指向性,検出再現性等を定量的に評価した。その結果,本ゾンデの性能が最終的な設計仕様を満足することが確認できた。2.フィ-ルド実験による実用試験,(1)東八幡平フィ-ルドにおける実用試験:3軸シェアシャドウ法による人工地下き裂の計測実験,3軸2点観測による人工音源標定実験,および,人工地下き裂を伝搬する境界波の計測実験において本ゾンデを使用し,広帯域特性等その有効性を確認した。(2)葛根田における実用試験:岩手県葛根田地熱発電所地熱井ビルドアップ時のAE計測を行い,その動作を確認するとともに,AE源位置標定精度の評価を行った。(3)雄勝フィ-ルドにおける実用試験:電力中央研究所雄勝高温岩体実験フィ-ルドにおいて,水圧破砕にともなうAEの計測実験を行い,その性能を評価した。本フィ-ルド実験では,葛根田フィ-ルドに比べ高周波のAEが観測され,本ゾンデの広帯域特性の有効性が確認された。
|