研究概要 |
本研究は、振動子を二次元的に配置したマトリクスアレイ探触子を開発し、球面波状のパルス超音波を送波して、複数の振動子で受波した反射波の畳み込みによって三次元的な構造情報や血流動態を計測・可視化しようというものである。最終年度にあたる本年度は、本試作装置の評価試験と新手法の有用性の検討を進めるべく、当初計画通り下記の研究計画に沿って試作研究に従事した。 1.モデル水槽内実験:水槽内に設置した針金や糸などで作成した物体の立体像計測実験を施行して,試作装置の性能試験を行い,送受波パワ-の測定や表示する立体像の表示方法などを中心に基礎デ-タを収集した.しかし、パイプ内を流れるマイクロカプセルの動態計測実験は画像計測レ-トが向上せず実施できなかった。 2.装置細部の手直しと画像化ソフトウエアの改善:上記実験の結果をふまえ,振動子の改良による送波のパワ-アップを実現するとともに,立体像表示の画像化ソフトウエアに関する改良を試みた. 3.動物実験の施行:当初計画では、大型成犬や山羊などによる心臓立体像の計測や生体応用可能なマイクロカプセルを使用した心臓・冠血管内血流の三次元可視化実験を試みる予定であったが、画像化プロセッサの高速メモリ-の調整に手間取り,実施できなかった。 4.試作装置の問題点と実用化への検討:試作装置の画像化性能は、10mmから20mmまで0.5mmおきに4mmx4mmのCモ-ド像20枚を秒1コマで表示可能、各Cモ-ド像は400画素(1画素0.2mmX0.2mm)で表示可能、疑似三次元表示可能、などである。以上、新方式による三次元可視化装置の試作に成功したので、今後は装置の実用化に向けて努力する予定である。
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