研究概要 |
ミルスクロス法を利用した合成開口法を電磁波源の推定に適用する場合,予測できる空間はフレ-ネル領域内となっている。本研究ではアレイアンテナの開口長を10波長に限定したが,この時のフレ-ネル領域は開口中心より約200波長の範囲である。本研究では100波長までの領域で波源の推定が可能であるかどうかを計算機シミュレ-ションにより検討を加えた。推定領域は全て10波長四方の領域であるが,この推定領域がフレ-ネル領域内の100波長四方の領域のどこに移動しても,ほぼ波源の推定が可能であることが認められた。 市街地におけるミルスクロス法の適用を考えた場合,本来のミルスクロス法では合成開口を構成するアレ-アンテナは直交していなければならない。市街地においてアンテナを設置することを考えた場合,常に直交した形でアンテナの設置ができるとは限らない。アレ-アンテナの交叉角が90度からどの程度ずれることが許されるかを計算機シミュレ-ションにより検討した。この結果,推定領域である10波長四方内での波源の位置により,推定確度が大きく変ることがわかった。この場合,波源を同定するための評価関数を次ぎのように定めている。即ち、最大強度の3dB低下する範囲と定めている。この領域が1/4波長以内に同定できると定めれば,最悪状態では,交叉角の許される誤差は±1度以内に保持しなければならない。 各アンテナで受信される情報をベクトルボルトメ-タにより振幅情報と位相情報に分離するわけであるが,予備実験の結果,位相情報は相当大きくゆらいでいる。この部分については完全な自動計測に移行するためのネックとなることも判明した。現状では,位相ゆらぎの中央値付近でコマンドを投入しデ-タを取り込むことが必要である。
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