実験は福井大学校内に、長さ2m、直径10cmのアルミ棒を地中に埋没し、それを直径60cm、厚さ1cmのアルミ盤と連結する。舗装体として直径70cm、厚さ10cmのコンクリ-トを採用し、上述したアルミ盤がコンクリ-ト舗装体の中央に位置するように、現場打設した。本手法の効果の比較・検討のために、約2.5m離れた位置に、同じ大きさのコンクリ-ト舗装体も打設した。さらに、本手法により地中内熱エネルギ-の移動にいかなる変化が観察されるかを調べるために、アルミ棒周辺の地盤、およびコンクリ-ト中に熱伝対を合計30個取り付けた。 実験の手順は次の通りである。夜間晴天時の強制対流による凍結状態を観察するために午前3時から、扇風機による送風蒸発実験を開始する。その際、両舗装体上に同量の0℃に近い水を散水し、蒸発量および風速を測定する。こうして、約20分から30分ごとに温度分布、気温、湿度を測定し、舗装体の表面の水の凍結を確認する。 以上より、得られた結果を要約する。 (1)本手法は氷点下の気温が4時間程度(最低気温-1℃)続き、蒸発量が自然蒸発の6倍くらいの条件下では凍結防止に有効である。このとき、アルミ棒を含まない舗装体上の水は実験開始後、2時間程度で凍結が生じた。 (2)コンクリ-ト内温度はアルミ棒の有無により、1〜2℃高くなる。コンクリ-ト表面では0.5〜1℃の差となる。このわずかな温度差は凍結を議論するとき、重要となる。(3)地中内温度は地表面下50cmまでのアルミ棒中心とした半径50cm以内の範囲で周辺よりは温度は高くなる。 (4)地中内温度分布の鉛直方向勾配とアルミ棒周辺温度の鉛直方向勾配に差はなく、土とアルミの熱伝導率の比率に相当する地然エネルギ-が、アルミ棒を介して、地表まで達すると考えられる。
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